旅愁鉄道

旅愁漂う鉄道!国鉄及びJRについて語ります。

JR北海道を再生するには!その1「JR北海道を窮地に追い込んだ事故・不祥事」

JR北海道が窮地に追い込まれた事故・不祥事の発生は以下の通りです。

まず、筆頭に上がるのは、何といっても2011年5月27日、石勝線清風山信号場構内第1ニニウトンネル内で発生した、6両編成のディーゼル特急「スーパーおおぞら14号」が脱線全焼した事故です。脱線した理由は、ディーゼルエンジンの推進軸と減速装置の機器類が走行中に線路に落下飛散して、これらの機器類に車輪が乗り上げたからです。事故当時、248名の乗客と運転士1名、車掌1名、車内販売の客室乗務員2名が乗務していましたが、乗務員が乗客に対して適切な避難誘導を行わなかったにもかかわらず、奇跡的に1人の死者も出さずに済みました。

JR北海道では、この事故を契機に事故が多発しました。

同年6月14日、石勝線・室蘭線追分駅施設障害による不正信号現示。2012年2月29日、函館線八雲駅構内で氷雪による普通列車脱線。同年3月7日、留萌線箸別~増毛間で普通列車脱線。同年4月26日、江差線泉沢釜谷間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月11日、同線同区間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月18日、千歳線新札幌駅構内でディーゼル特急「北斗14号」のエンジン内スライジングブロック破損。2013年1月7日、根室線常豊信号場~上厚内間でディーゼル特急「スーパーおおぞら13号」のドアが開く。同年4月8日、函館線八雲駅構内でディーゼル特急「北斗20号」のエンジン内スライジングブロック破損による出火。同年7月6日、函館線山崎駅構内でディーゼル特急「北斗14号」のエンジン内スライジングブロック破損による発煙出火。同年同月15日、千歳線西の里信号場構内でディーゼル特急「スーパーおおぞら3号」のサービス配電盤内から出火。2014年8月17日、函館線八雲~山越間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月19日、函館線大沼駅構内でコンテナ貨物列車脱線。

次に、不祥事を以下に示します。2013年10月4日、国土交通省JR北海道全体でレール幅の異常放置が合計270ヶ所あったと発表。同年同月28日、JR北海道は分岐器約2100ヶ所が調査から漏れていたと発表。同社はこれにとどまらず2014年1月21日に衝撃的な発表をしました。なんと、JR北海道全44保線部署のうち、33の保線部署でレール幅の検査データの改ざんが行われ、保線担当の社員795人のうち、129人がデータ改ざんに関与していたと発表したのです。また、2013年9月19日のコンテナ貨物列車脱線事故直後にもデータ改ざんが行われていたと発表しました。

さらに、個人的不祥事を以下に示します。2013年7月30日、岩見沢運転所の運転士が覚せい剤取締法違反の容疑で北海道警察に逮捕されました。同年9月7日、寝台特急北斗星」牽引のディーゼル機関車の運転士が操作ミスを隠すために機関車の自動列車停止装置(ATS)をハンマーで破壊しました。

 

JR北海道は、これらの事故・不祥事の発生に伴い、4度の特別保安監査と2度にわたる事業改善命令を受けました。一民間鉄道会社がこのような事態に陥るのは史上初めてであり、もはや、単にJR北海道の責任を追及するだけでは限界を超えており、逆に国の監督責任を問うべきではないだろうか、と思います。

 

ところで、以上上げた事故・不祥事は、車両整備不良及び線路保守不良が原因で、本社と現場の断絶が考えられ、根深い企業体質の悪化がありました。特に、不祥事の原因は深刻で、データ改ざんの問題については、会社ぐるみの組織的な犯罪と言わざるを得ず、相当悪質でありました。

 

話は繰り返しになりますが、ここまでJR北海道が悪の集団化した要因をJR北海道のみに追求するには限界があります。ここで、現行JR方式を抜本的に見直す時期が来たと言えるのではないでしょうか。