旅愁鉄道

旅愁漂う鉄道!国鉄及びJRについて語ります。

JR北海道を再生するには!その2「JR北海道の言語道断な対応」

JR北海道は、2016年7月29日に「『持続可能な交通体系のあり方』について」という文書を発表しました。冒頭部分を以下に示します。

これまで当社は、北海道における基幹的交通機関として公共交通の一翼を担ってきており、今後も地域における交通手段の確保は重要であると認識しております。しかしながら、当社の経営状況は極めて厳しく、また当社が経営基盤を置く北海道は、全国を上回るスピードで人口の減少が進んでいることから、それぞれの地域特性に応じた持続可能な交通体系のあり方について、地域の皆様に早急にご相談を開始させていただきたいと考えております。

このように、JR北海道は所管省庁である国土交通省ではなく、沿線地域自治体等と相談したいと述べました。さらに、JR北海道は、2016年11月18日に、「当社単独では維持することが困難な線区について」(13線区1,237km)という文書を発表しました。その中で、輸送密度が200人未満(片道100人未満)の線区についてはバス等への転換を指示し、輸送密度が200人以上2,000人未満の線区については設備の見直し・駅の廃止・列車の見直しによる経費節減、運賃値上げ、運行会社と鉄道施設等を保有する会社とに分ける上下分離方式等を指示しました。これらの線区の中には特急列車や貨物列車を運行している線区があり、問題は非常に深刻であり、かつ性急です。また、この文書の中で、JR北海道は以下のように述べています。

「当社単独では維持することが困難な線区」について、沿線の複数の自治体と円滑にご相談を行うため、協議会等の立ち上げをお願いしてまいります。また、既に協議会や協議会に準ずるご相談の場があれば、その場でご相談をさせていただきます。

これは、筋違いもはなはだしく、国策の失敗を沿線地域住民の利用者である国民に押し付けるものとしか言いようがありません。上下分離方式の下にあたる鉄道施設等の保有会社の経費を沿線地域住民に押し付けるとは論外ではないでしょうか。JR北海道は、これらのご相談を直ちに打ち切って、即刻、所管省庁である国土交通省に対して、日本国有鉄道改革法第六条が履行できかねる現状を説明して、国鉄改革がJR北海道では破綻したことを訴えるべきです。政府は、北海道における国鉄改革の失敗を素直に受け止めて、直ちに所管省庁の枠に捕らわれない政府主導によるJR北海道の救済策を実施すべきです。もう、鉄道・運輸機構による小手先の対応では焼け石に水であり、政府主導による早急なJR北海道の抜本的な改革に着手するべきです。

一方で、政府与党自民党は2017年、「JR北海道対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、4月6日に党本部で最初の会合を開き、北海道高橋知事から意見を聴取しています。これは、注目に値する画期的な動向です。自民党内の組織である「JR北海道対策プロジェクトチーム」の決定事項は即、国の政策に直接反映されるため、今後の活動に大いに期待するべくところです。

JR北海道を再生するには!その1「JR北海道を窮地に追い込んだ事故・不祥事」

JR北海道が窮地に追い込まれた事故・不祥事の発生は以下の通りです。

まず、筆頭に上がるのは、何といっても2011年5月27日、石勝線清風山信号場構内第1ニニウトンネル内で発生した、6両編成のディーゼル特急「スーパーおおぞら14号」が脱線全焼した事故です。脱線した理由は、ディーゼルエンジンの推進軸と減速装置の機器類が走行中に線路に落下飛散して、これらの機器類に車輪が乗り上げたからです。事故当時、248名の乗客と運転士1名、車掌1名、車内販売の客室乗務員2名が乗務していましたが、乗務員が乗客に対して適切な避難誘導を行わなかったにもかかわらず、奇跡的に1人の死者も出さずに済みました。

JR北海道では、この事故を契機に事故が多発しました。

同年6月14日、石勝線・室蘭線追分駅施設障害による不正信号現示。2012年2月29日、函館線八雲駅構内で氷雪による普通列車脱線。同年3月7日、留萌線箸別~増毛間で普通列車脱線。同年4月26日、江差線泉沢釜谷間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月11日、同線同区間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月18日、千歳線新札幌駅構内でディーゼル特急「北斗14号」のエンジン内スライジングブロック破損。2013年1月7日、根室線常豊信号場~上厚内間でディーゼル特急「スーパーおおぞら13号」のドアが開く。同年4月8日、函館線八雲駅構内でディーゼル特急「北斗20号」のエンジン内スライジングブロック破損による出火。同年7月6日、函館線山崎駅構内でディーゼル特急「北斗14号」のエンジン内スライジングブロック破損による発煙出火。同年同月15日、千歳線西の里信号場構内でディーゼル特急「スーパーおおぞら3号」のサービス配電盤内から出火。2014年8月17日、函館線八雲~山越間でコンテナ貨物列車脱線。同年9月19日、函館線大沼駅構内でコンテナ貨物列車脱線。

次に、不祥事を以下に示します。2013年10月4日、国土交通省JR北海道全体でレール幅の異常放置が合計270ヶ所あったと発表。同年同月28日、JR北海道は分岐器約2100ヶ所が調査から漏れていたと発表。同社はこれにとどまらず2014年1月21日に衝撃的な発表をしました。なんと、JR北海道全44保線部署のうち、33の保線部署でレール幅の検査データの改ざんが行われ、保線担当の社員795人のうち、129人がデータ改ざんに関与していたと発表したのです。また、2013年9月19日のコンテナ貨物列車脱線事故直後にもデータ改ざんが行われていたと発表しました。

さらに、個人的不祥事を以下に示します。2013年7月30日、岩見沢運転所の運転士が覚せい剤取締法違反の容疑で北海道警察に逮捕されました。同年9月7日、寝台特急北斗星」牽引のディーゼル機関車の運転士が操作ミスを隠すために機関車の自動列車停止装置(ATS)をハンマーで破壊しました。

 

JR北海道は、これらの事故・不祥事の発生に伴い、4度の特別保安監査と2度にわたる事業改善命令を受けました。一民間鉄道会社がこのような事態に陥るのは史上初めてであり、もはや、単にJR北海道の責任を追及するだけでは限界を超えており、逆に国の監督責任を問うべきではないだろうか、と思います。

 

ところで、以上上げた事故・不祥事は、車両整備不良及び線路保守不良が原因で、本社と現場の断絶が考えられ、根深い企業体質の悪化がありました。特に、不祥事の原因は深刻で、データ改ざんの問題については、会社ぐるみの組織的な犯罪と言わざるを得ず、相当悪質でありました。

 

話は繰り返しになりますが、ここまでJR北海道が悪の集団化した要因をJR北海道のみに追求するには限界があります。ここで、現行JR方式を抜本的に見直す時期が来たと言えるのではないでしょうか。

ED71(2次形)登場!

f:id:jnron1991:20180528042020j:plain国鉄ED71(2次形)交流電気機関車(KATO製品)

ED71は、初の量産型50Hz用交流電気機関車です。昭和34年から昭和38年までの間に、試作機3両を含む計55両が製造されました。車体前面は、重連総括制御を行うために、貫通形になっています。整流器は、3両の試作機の試験の結果、風冷式エキサイトロン水銀整流器を採用しています。主電動機は、D級交流機関車としては国内最高出力510kwのMT101形(歯車比1:5.47)がED71専用に開発されました(定格総出力2040kw)。

第1次量産機は昭和35年1~3月に4~32号機が、第2次量産機は昭和36年1~3月に33~44号機が製造されました。外観の特徴として、車体側面の通風用ルーバーが2箇所、田の字に配置されています。第3次量産機は昭和37年9月に45~49号機が、第4次量産機は昭和38年9月に50~52号機が、第5次量産機は同年11~12月に53~55号機が製造されました。外観の特徴として、車体側面の通風用ルーバーが明かり窓と同じ高さの一段のみとなりました(第1・第2次量産機を1次形、第3・第4・第5次量産機を2次形とも言う)。

ED71は、昭和35年4月1日よりシリコン整流器の新鋭ED75が登場する昭和40年2月まで黒磯~仙台間の全客貨列車を牽引しました。

ED71は、昭和39年10月1日ダイヤ改正で新設された東北初のブルートレインはくつる」(黒磯~仙台間)に投入され、翌昭和40年の盛岡電化時に運用区間の拡大が検討されましたが、冬期のエキサイトロン凍結の可能性から、運用区間は黒磯から仙台(一部は小牛田)までとされ,仙台~盛岡間はED75が牽引しました。

昭和43年10月1日のダイヤ改正の青森電化以後はED75が大量増備されて、「はくつる」運用は交流全区間(黒磯~青森間)がED75となりました。その後、昭和53年から余剰機の廃車が始まり、昭和57年11月22日に黒磯~福島間で普通列車1往復を牽引したのを最後に、全機運用を離脱・廃車となりました。

しかし、ED71は昭和35年から昭和57年の間に、以上述べた寝台特急はくつる」を始めとし、急行「みやぎの」「鳥海」「出羽」「男鹿」「吾妻」「ばんだい」「青葉」「ひめかみ」「松島」「蔵王」「八甲田」「津軽」[北星」「新星」を牽引し、大活躍しました。

このうち、KATOからNゲージで製品化されているED71(2次形)及び急行「津軽」の編成を以下に示します。

 

急行下り「津軽1号」上り「津軽2号」の昭和46年10月1日から昭和50年3月9日までの運用。

上野~青森間

(上野方)マニ37+マニ36+④スロフ62+⑤オロネ10+⑥スハネ16+⑦スハネ16+⑧オハ46+⑨オハ46+⑩オハ46+⑪オハ46+⑫スハフ42

(牽引区間)上野~EF57~黒磯~ED71~福島~EF71~山形~DD51~秋田~ED75-700~青森

*マニ37は上野~秋田間。

*⑧~⑪号車はオハ47の時がある。

*⑫号車はオハフ33の時がある。